社会的資源としての能

怒涛の日々がやっとひと段落しました。

ブログ、お休みしていてすみませんでした。

舞台も含めていろいろ用事があり、その間に寺子屋関係をバシバシ入れてしまったので、全く休みがない状態でした。でも、明日は夕方までヒマ!

内田樹さんのブログで、「ヒマができたから掃除をした」というようなお話が以前にあったということを、いまちょっと思い出したのですが、掃除はまたの機会にして、午前から昼にかけてマジメに原稿に取り組みます。

さて、今日の題名「社会的資源としての能」って前に書きましたっけ?

これは僕のアイディアではなく、能の笛方・森田流の槻宅(つきたく)聡さんの言です。



倫理研究所から依頼されて、槻宅さんといっしょに「デス・スタディーとしての能」というテーマで、浜松、広島、大垣と講演をしてきました。

デス・スタディーについてはじめて考えたのは、エイズの方たちをサポートする団体の立ち上げに関わったり、エイズの本を書いたりしていたときでした。もう20年くらいも前の話です。何人かの方の死にも立ち会い、キューブラ・ロスをはじめさまざまなデス・スタディーの本を読んだり、デーケンさんにお会いしてお話を伺ったりもしました。

キューブラ・ロスの本やデーケンさんもすばらしいのですが、日本人として(あるいはキリスト教徒ではないものとして)は、ちょっと違和感を感じました。でも、いま能とデス・スタディーということで考えてみると、その違和感が払拭されて、何かスッキリするのです。



デス・スタディーだけでなく、ニートの人や不登校の子どもたちとも能のワークショップをすることがあります。精神病院でしたり、児童相談所でしたこともあります。

能のワークショップをするというと、若い人に能を紹介して見てもらおう、という動機のように思われますが、それはそんなに大きな動機ではありません。

動機は自分自身でもよくわからないのですが、ただ、いろいろな人に能のワークショップをします。何をするかは、その場で、集まった人の様子で決めます。事前にはあまり決めない。

で、やっていると、何かが変わるということがよくあるのです。

知人のひとりは自殺をしたいと思っていたときに謡を謡って、なんとか生き延びることができたと話してくれました。

能が芸能として優れたものであることは多くの人が認めるところです。しかし実は能はそれ以上にさまざまなことに寄与できるのではないか、そしてそこにこそ他の芸能とは違う特質があるのではないかと思うのです。

で、僕はこれをあまり意識せずにしていたのですが、槻宅さんはこれをとても意識的にされていて、さらには「社会的資源としての能」という、すばらしいネーミングをされたのです。

さすが!



能のいいところは、まだ作者が匿名の時代に作られているということです。

いま、「この曲は世阿弥作だ」とかいうのも後の研究者がそう言っているだけです。本人には自分の名前を残そうという気はありません。

誰か個人が作ったものではなく、もっと大きな何かが作った作品なのです。だからいい!

「宝石にはさまざまな切子面がある」という台詞はジェイムス・ヒルトンの『失われた地平線(新潮文庫)』だったかな?

能にもさまざまな切子面があり、その切子面ひとつひとつに真理が輝いています。まだまだ見つかっていない切子面もあるでしょう。

たぶん「●●と能」っていえば、ほとんど大丈夫なくらいにマルチな芸能なんじゃないかな・・。

七石舞台「かがみ」で至高のワークショップ〜山のシューレ〜

8月1日、2日と那須ですごいワークショップが開かれます。以下はメルマガで配信した内容です。

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▼山のシューレ、開かる!

さて、前々から予告だけしておりました「山のシューレ」でのワークショップのお知らせです。

「シューレ」とはドイツ語で「学校」。那須の山麓にあるアート・ビオトープ那須で、毎年、夏に開催されるテンポラリーな学校です。今年のテーマは「言葉・身体・環境」で、7月30日〜8月3日にかけて催されます。

もう本当に楽しさテンコ盛りで、何のお話をしたらいいかわからないのですが・・。

たとえば初日には茂木健一郎氏等による対談があり、夜にはオスカー・シュレンマー構想による影絵芝居「婚姻(ストラヴィンスキー)」の世界初上映があるのですが、それに安田や能管の槻宅聡さんもからんじゃったりします。

また、那須の山ろくですから自然が素敵です。そして食事もとてもおいしい。そこで採れた野菜もおいしいし、お肉もおいしい。もちろん空気も水もおいしい。おそばもおいしい!去年は外で屋台が出たのですが(今年もそうかなあ)、その屋台のおじさんが皆さん一流のシェフなのです。

山のシューレのページはこちらへ!

http://www.schuleimberg.com/

▼七石舞台「かがみ」

安田のワークショップは8月1日(土)、2日(日)と二日間、行います。1日(土)が大人向け、2日(日)は子ども向けです。11:00〜17:00という長時間、みっちりと行います(お昼休憩あり)。

今回のワークショップの最大の特徴は、二期倶楽部内にある、七石舞台「かがみ」で行うことです。去年は部屋の中のワークショップでした。今回、七石舞台「かがみ」を使えるのはラッキーです。

七石舞台「かがみ」は二期リゾートの依頼で松岡正剛氏監修で作られたすごい舞台です。

イサムノグチが大好きだった四国の庵治から運ばれた巨大な7つの石と、それらをつなぐ鏡面ステンレスによってつくられています。

設計は建築家の内藤廣さん、石はイサムノグチの右腕と称された和泉正敏さん。

「石という普遍的な時間の重さから、舞台空間を解き放つために鏡を配した」と内藤さんは語っています。

2006年にこの舞台のこけら落としをさせていただきました。パーカッショニストと土取利行さん、ジャズトランペットの近藤等則さん、そして先日亡くなられた桃山晴衣さんともご一緒させていただきました。

そのときの様子は松岡さんのブログでどうぞ。

http://www.eel.co.jp/seigowchannel/archives/2006/10/report_11.html

すごい舞台です。ここに立ってみることができるというだけで、これは貴重な体験です。

▼石舞台で舞を舞う

『論語』にはこんなエピソードが載っています。

孔子がある日、四人の弟子たちに「お前たちのことをわかってくれる人がいたら何をするか」と尋ねる。三人の弟子たちはみな、政治的な立派な答えをするのですが、曽書ツ(そうせき)という弟子だけはひとりはこの問答には加わらず瑟(こと)を弾いていた。瑟は神霊を招く楽器です。

孔子は「お前はどうだ」と曽書ツに尋ねると、「私は皆さんのような立派な意見ではないのですが」という。「それでもかまわないから」という孔子の再度の問いに彼は答えます。

「春の終わりの頃、春服もちゃんと整った頃、成人した者五、六人と、それから童子を七、八人を伴って、沂水で浴し、舞ウ(ぶう)という石の舞台で、風や神霊を招く舞を舞い、詠じて帰らん」

これを聞いた孔子は「私もそれがいいな」と曽書ツに同意するのです(11・26)。

このエピソードには石の舞台と水が登場します。七石舞台「かがみ」は鏡面がまるで水のように見えるのです。そして石舞台のすぐ近くには本当の川も流れています。自然に囲まれた野外舞台です。

長い橋掛かりをゆっくりと歩き、石と水の舞台の真ん中に立って四方の気を感じてみると、さまざまなことを感じるでしょう。自然に体が動き出し、自然に声が歌になるかも知れません。

▼ワークショップでは

大人のワークショップは、前半は部屋の中で能の基本的な動きや発声を学びます。

もちろんロルフィング的な視点を通し、自分の体を感じながら動きます。

「これが正しい型、これが正しい動き」ということではなく、その人の今の身体、あるいは潜在的な身体が一番しっくりする動きを探していきます。

そして、後半はその動きや声をひっさげて舞台に向かい、七石舞台「かがみ」の中で、まずは静かに四方の気を感じる練習をし、そこから沸きあがってくる声や言葉を探します。長い橋掛かりを歩きながら舞台に入り、そこで静かに、そして自由に舞ってみます。

「自分は踊りやダンスは苦手」という方も全く問題、ありません。静かにたたずんでいる、あるいは静かに座っている、それだけでも立派な舞です。

ぜひ七石舞台「かがみ」の気を感じてみてください。

子どものワークショップは狂言的な動きや発声を中心に行います。体をいっぱい動かしたいので、コンテンポラリーダンス的な要素も入れます。

そして最後には『寿限無』を、狂言とダンス仕立てでやってしまおう!というこれまた楽しい試みです。

大人クラスにはロルファーの楠美奈生(くすみ・なお)さんが、そして子どもクラスには狂言師で面打ちの奥津健太郎(おくつ・けんたろう)さんが一緒に参加します。

※ただし大雨の場合は野外舞台は使えません。ごめんなさい(泣)。

▼そうそう!

さて、これが最大のお知らせです・・・。

●受講料の値引き

通常10,000円ですが、8,000円で受講いただけます。子どもクラスは子どもと大人の両方で8,000円です。

●バスのチャーターも

会場が遠いので(だから自然が素敵なのですが)、新幹線代や、それから先のバス代(あるいはタクシー代)で、かなりになります。20名集まればバスがチャーターできるようです。人数にもよりますが新幹線代よりは安くなるようです。

参加ご希望の方は、まずは和と輪の方にメールをいただければと思います。

和と輪:info@watowa.net

本当にこれは心よりお勧めのワークショップです。こんな機会はめったにないので、ぜひご参加ください。

ゲリラ寺子屋、満員になりました

毎度、業務連絡ばかりで申し訳ございません。

さて、6/28(日)18:00〜ゲリラ寺子屋:和の身体作法(続編)ですが、おかげさまで満員になりました。ありがとうございます。

「これから申し込みをしようと思っていたのに・・」という方、また開催いたしますので次回にぜひご参加ください。

寺子屋情報

以下は、メルマガで送った内容です。

メルマガ内容の曜日に一部、間違いがございました。申し訳ございません。以下は直っているものです。

●ゲリラ『寺子屋』和の身体作法(続編)

まずはゲリラ『寺子屋』です。

「能のワークショップもしてほしい」という希望があり、それにお応えする形で用意しました。朝日カルチャーセンターの「和の身体作法」の続編で、「人間五十年〜」の幸若舞『敦盛』とともに、自分の身体を見つめようという講座です。

朝カルでやったようなことはしませんが、初めての方でも多分大丈夫です。

できれば足袋と扇(扇子でも可)をお持ち下さい。ない方は靴下やソックスでも大丈夫。ストッキングはちょっとキツイかも。

またまた急な話なので、そんなに集まらないとは思いますが、動きがあるので人数制限があります。ご希望の方は早めにメールをいただければ幸甚です。

飛び込みのご参加はいただけません。

和と輪:info@watowa.net

日時:6月28日(日)18:00〜21:00
会場:未定(広尾・恵比寿周辺)
   ※参加希望者にお知らせします
受講料:3,000円

●次回、寺子屋のお知らせ

来週の月曜日は定例の寺子屋があります。会場はいつもと同じ東江寺さんです。こちらは飛び込みも大丈夫ですが、テキストが不足する場合がありますので、やはりメールをいただけると助かります。

次回も中国語読み『詩経』をします。

日時:6月29日(月)19:00〜21:00
会場:東江寺(広尾)
受講料:お賽銭

和と輪:info@watowa.net

●『易経』を読む会のお知らせ

来週の火曜日は『易経』を読む会です。前回に引き続き「屯(ちゅん)」の卦を読みます。今度こそ、みなさんにジャラジャラやっていただきます。初めての方もどうぞお気軽においでください。

日時:6月30日(火)19:00〜21:00
会場:カプラン(表参道校)
受講料:2,000円

和と輪:info@watowa.net

●7月寺子屋のお知らせ

8月は定例寺子屋がお休みになります。そこで7月最後の寺子屋は特別バージョンで開催します。

・15日(水)定例寺子屋
 受講料:お賽銭

・21日(火)寺子屋・特別編
   日本人の魂の癒し方〜能の可能性〜
   特別ゲスト:槻宅聡(能楽笛方森田流)
    ※詳細は次回にお知らせします
 ※受講料:2,000円

※8月は少人数寺子屋を開催いたします。

和と輪:info@watowa.net

 安田登拝

寺子屋で中国語で『詩経』ほか

6月19日(金)に寺子屋の第五回、20日(土)には《甲骨文》虎の穴の二回目、そして同日、夜には朝日カルチャーセンターで『論語』の講座がありました。

出席された皆様、ありがとうございました。

●寺子屋では『詩経』を

お知らせした通り、寺子屋ではいつものメニューのほかに『詩経』を中国語音で読むということもしました。

NHKの『中国語会話』で創作をされた「四声体操」をしながら、ワイワイと『詩経』の中の詩『鹿鳴(ろくめい)』を読みました。指導は楠美奈生さんです。

楠美さんはロルファーで、ダンサーで、中国舞踊もしていたし、北京に留学もしていたし、そしてNHKで中国語文法体操を創ったひとりでもあります。

金曜日は台湾からのゲストもあり、美しい声で詩経の『鹿鳴』を朗読していただきました。

『鹿鳴』は明治時代の迎賓館である鹿鳴館の名の由来ともなった詩で、賓客を招くというのが詩のテーマになっていますが、実はその賓客というのは神様です。

孔子は、学に志したものは、まずは『詩経』を学べといいました。

『詩経』は中国最古の詩集で、それに載る詩は祭礼で歌われた古代の神謡がほとんどです。神謡ですから、ただ朗読をするための詩ではなく、歌うための詩なのです。中には神聖舞踏を舞うための歌もあるし、あるいは祝祭劇のための詞章と推測されるものもあります。

孔子の弟子たちは、ただ『詩経』を読むだけでなく、その中の詩を声に出して歌ったり、それに合わせて舞ったり、あるいは神聖劇を上演したりして、祭りの場(にわ)に神を呼び招き、そしてさまざまな儀礼を執り行ったりしました。

そういう舞や神聖劇や儀礼のための詞章集が『詩経』だったのです。

ですから、詩の章句もきわめて身体的なものが多い。それは『古事記』も同じで、そのまま謡えば、自然に体が動くように作られています。

むろん能の謡もそうです。能ももともとは神霊や祖霊、そして精霊を呼び出して、交感儀礼をするための神聖劇だったのです。

『鹿鳴』は神招きの詩ですから、歌いながら、ゆったりと舞うのがいいでしょう。『鹿鳴』の詩とともに舞もやろうかな、などと考えています。

●上帝祭祀の復元《甲骨文》虎の穴

《甲骨文》虎の穴のテーマは「上帝祭祀の復元」でした。

甲骨文を読みながら、古代最大の祭礼であった上帝の祭りを想像しようというものです。

10時から17時まで、途中に一時間の休憩でびっちりとやりました。参加された皆様、本当にお疲れ様でした。あんなにマジメにやったのに、それでもやはり時間が足りなかった。やはりこれは二回に分けるテーマでした。

最初に上帝祭祀の構造を簡単にお話し、能の構造や万葉集の中に現れた天皇霊を身につける儀式の構造、それから大嘗祭やキリスト教のミサについてもお話をしました。

それから後は、ただひたすら甲骨文を書き写して、読む、書き写して、読む・・という、まさに《虎の穴》のような一日でした。

終わらなかった分は今度しますね。

●朝日カルチャーセンター

朝日カルチャーセンターの講座は「学」についてお話をしました。

この講座を企画したとき、僕は『論語』については無名なので3名集まればいいかも、なんてことを話していたのですが、思ったよりも多くの方にご参加いただきました。

ありがとうございました。

二時間の講座だったのですが、やはりあっという間で「前・学」の段階のお話をしただけで時間になってしまいました。

続きをしたい!

金曜日は寺子屋です

甲骨文の続き、しばらくお待ち下さい。

実はショックなことが・・。

ブログ用に作っておいた甲骨文の画像が一挙に消滅してしまったのです。いっしょに土曜日の《甲骨文》虎の穴用の画像も・・・。

大ショック!!!

ちょっとした操作ミスなのですが・・。で、明日(ってもう今日ですが)は大事な舞台があるので、それが終わってから、また作り直します。これがかなり大変なのです。あ〜あ。

さて、メルマガ登録の方にはすでにお知らせしましたが、金曜日は寺子屋です。

今度の寺子屋から『詩経』もやりま〜す!

メルマガの内容を以下に載せます。

〓〓 今回のINDEX 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

●寺子屋が近づきました

●《甲骨文》虎の穴:第2回

●朝日カルチャーセンターで『論語』

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こんにちは。能の安田です。

寺子屋に参加された方にはダブってしまいます。申し訳ございません。また、すでに参加を表明されていらっしゃる方には二重にダブってしまいます。

●寺子屋が近づきました:『詩経』中国語読み始まります

次回の寺子屋が明後日(19日・金)になりました。またまたギリギリで申し訳ございません。

今回から新たなメニューが加わります。

孔子が「学」でもっとも薦めている『詩経』も読んでいきます。『詩経』は中国最古の詩集ですが、ただの詩集ではありません。「詩を学ばずんば、以って言うなし」と息子に言ったほどの経典です。

映画『レッドクリフ』でも『詩経』の中の詩が読まれていました。

今回から数回は鹿鳴館の名の由来ともなった『鹿鳴(ろくめい)』を読んでいきます。しかも中国語です。

中国語を全くやったことがないという方も多いと思いますので、中国語発音体操なども行います。これは近藤良平さんと楠美奈生さんとがNHKの中国語講座のために作った体操です。

★近藤良平さんは、NHK『からだであそぼ』のアイーダアイダなどで有名です。楠美奈生さんは和と輪のワークショップの講師で、しかもRolferでもあります。で、むろんダンサー!

寺子屋でも楠美奈生さんが指導します。

日 時:6月19日(金) 時間は19時〜21時
場 所:東江寺(東京都広尾)
受講料:お賽銭に自由にお入れいただきます

【内容】
・静座
・読経(般若心経・延命十句観音経)
・小謡『高砂』ほか(能の謡)
・『論語』素読と小歌
・『詩経』(今回は甲骨文はお休み)
・大人クラス(講義):「命」を学ぶ:前・学の段階
・子どもクラス(ダンス)

寺子屋の詳細はHPで。http://www.watowa.net/
(↓携帯ページ)
http://www.watowa.net/i/tera/index.htm

★参加を希望される方は事前にお知らせください。info@watowa.net

●《甲骨文》虎の穴:第2回

《甲骨文》虎の穴の第2回を開きます。今回のテーマは「上帝祭祀」。

殷の最大の神であった上帝に対して、どんなお祭りがされていたかを甲骨文から読み解きます。かなりマニアックなテーマです。

・・が、この祭祀は日本の天皇即位の翌年にのみ行われる大嘗祭や、キリスト教のミサなどとも関連してきます。ということは古代祭祀の原型のような祭祀なのです。

さらにユングの元型の問題や、さらにはさらには・・とさまざまな問題とも深く関連する祭祀です。話は尽きそうもないので、またまたさまざまな問題を残したまま終わると思います。

午前中は前回と同じく甲骨文入門をしますので、はじめての方もどうぞいらっしゃってください。

6月20日(土)
10:00〜17:00(途中休憩あり)

会費:3,000円(今月まで特別価格です)

会場:東江寺(今回は東江寺さんになります。お間違えのないように)
★途中入場、途中退場可能です(ただし会費は変わりません)。

★参加を希望される方は事前にお知らせください。info@watowa.net

●朝日カルチャーセンターで『論語』

《甲骨文》虎の穴の後、新宿の朝日カルチャーセンターに移動して『論語』の講座です。

こちらは「学」をテーマにお話します。『論語』の中の「学」から始めて、具体的な勉強方法などもお話したいと思っています。

どうぞいらっしゃってください。

あれあれ・・

いまテレビで昨日の自民党の話をやっていました。

古川議員が、「田園まさに荒れなんとす」を引用していたのですが、その後の言葉がうまく聞き取れなかったらしく、テロップが「対難いざ」と出ていました。むろん「帰りなんいざ」です。

これって高校の漢文でもやるのに・・。

どのテレビ局かは書きませんがテレビ局への入社って難しいと思うし、ましてやニュース映像を扱う人なのに・・。

このごろ『論語』の本を書いたり、寺子屋をしたりしていますが、「このくらいは知っているだろう」という前提を考え直した方がいいかも知れない、と思いました。

《甲骨文》虎の穴1−4「双頭の龍」(B)

いまは広島からの帰りの新幹線です。

では、「双頭の龍」第2回目をいきましょう。

前回の質問は答えることができましたか。

(1)数字
(2)すでにやった文字
(3)方角(ふたつ)
(4)足に関連する文字

・・でした。では、ひとつひとつ見ていきましょう。

●(1)数字

数字はこれでした。

06hachi

そうです。「八」ですね。これは前にもやりました。で、次の・・

07hi

・・とともに「八日」になります。

●(2)すでにやった文字

すでにやった文字はこれです。

04aru

この字は「甲骨文ではとてもよく出てくる文字です」ということをお話しました。覚えていますか。覚えていない方はこちらを→・・

「ある(有)」ですね。

●(3)方角(ふたつ)

方角はどうでしょうか。

最初のはこれです。

13higashi

これだけだとよくわからないけれども「方角だ」といわれると何となくわかるでしょう。

そうです。

「東」ですね。嚢(ふくろ)の象形字です。

「え〜、学校で教わったのと違う」

そう、小学校ではよく「東という漢字は、木の間に日が出ているから東だよ」などと教わります。が、ほんとうは「ふくろ」です。

「小学校で嘘おそわった」と怒らないでください。あれは嘘ではありません。方便なのです。

小学生に「嚢」って言っても、「そんな漢字知らな〜い!」って言われてしまうし、「陰嚢」の「嚢」だよ、なんていえないしね。

殷代には、この字はすでに「ふくろ」という意味では使われずに「東」という意味だけに使われていました。

東という抽象的なものを表現するのに、音を借りてきて使うという仮借使用ですね。「嚢(ノウ)」という音と「東(トウ)」という音が似ているでしょ。

で、もうひとつの方角はこれです。

20kita

これも「方角だ」といわれるとわかりやすくなります。

この文字には同形のものが二つ入っています。半分に切ってみましょう。バシッ!

20kita_hito

さて、これは何でしょう。

「人」です。

甲骨文字ではこういう字形で使われることもあるし、次のような字形で使われることもあります。

20kita_hito02  

頭もつけてみると、さらにわかりやすくなつでしょう。横向きの人です。

20kita_hito03

で、この頭付きの二つを上のように並べてみます。

20kita_hito04

二人の人が背中を向け合って立っている姿です。仲悪そう!

で、さらに頭を取ってみる。もひとつ、ついでにブシュッとつぶしてみる。

20kita_hito05  20kita_hito06

わかりましたか。

そうです。「北」ですね。

「北」の下に「月(肉づき=身体に関する文字につく)」を入れると「背」になります。「背」には背中という意味のほかに「背(そむ)く」という意味もあります。背を向け合っている状態です。

●(4)足に関連する文字

では次は「足」に関連する文字を探しましょう。

寺子屋に出ていない方は「なぜ、足に関する文字?」と思われるでしょう。実は寺子屋で足に関する甲骨文字を、もうすでにやったあとなのでこんな質問をしたのです。

さて、足に関する文字も二つあります。ひとつめはこれ!

10kaku

「このどこが足なんや〜!」という方のために、この漢字のこの部分が足なのです。

10kaku_ashi01

「え〜、全然わからん!」という方のために向きを反対にしてみましょう。これでいかが。

10kaku_ashi01b

「それでもダメだ〜!」という方のために肉付けしてみましょう。

10kaku_ashi02

あ、なんか余計にグチャグチャになっちゃったんで、中の漢字を抜いて肉だけね。

10kaku_ashi03

どうだ!足に見えたか。じゃ、これをこの漢字用に元の方向に戻しますね。

10kaku_ashi03b

そうすると「下向きの足」になります。もう一度、さっきの漢字を見てください。

10kaku

下向きの足が、どこかに向かっている!やって来る!という意味を表す漢字です。じゃあ、今の漢字に直すと何か?

いかがでしょうか。

よくわからない、という方のために左右を逆転してみましょう。いかがですか。わかった?

10kaku_gyaku

「それでもわからん」という方のために、今度は「廟堂」を表す「ウカンムリ」がついた文字があります。そいつを紹介!これでどうだ!

10kaku_gyaku_u

そうです。これは「客」という漢字ですね。

「客」とは何かが廟堂(みたまや)にやって来ること。で、その何かというのは神様とか先祖の霊とかです。日本でも「まれびと」神がいます。

で、この字は廟堂を表すウカンムリはありませんが、神や祖霊が来臨して、お告げを与えてくれるという字で、今の漢字に直すと「各」です。

どうです。「各」に見えますか。来臨した神は「客」と呼ばれますね。

10kaku_gyaku

ここでは「格(いた)る」と読んで、何かがやってくるという意味です。

●次の足の字

さて、次の足の字はこれです。

18deru

足が「各」と反対向きですね。あっちに向いています。

やって来るんじゃなくて、やって行く・・です。

何かから出るさまを表す漢字です。

白川静氏は下の形を「かかとのあとの曲線」といいますが、どうかな。そんな抽象的なのはあまり甲骨文に似合わない。

甲骨文では落とし穴のようなものが、このように描かれることが多いですね。

そうそう。「凶」という字も落とし穴に落ちた形だし。

で、この字は「出」る、です。

さあ、ではいまやった漢字を元にして甲骨文を読もうとしてみてください。

続きはまた!

《甲骨文》虎の穴1−4「双頭の龍」(A)

広島の夜です。

・・といっても小田原でワークショップをやってからの広島入りですからお好み焼きも食べられず、眠い体に鞭を打ってブログを書いています。

さて、今回から新しい甲骨文に入りますが、実は今まで題名をつけ間違えていました。今までの題名も正しく直しましたが、ご迷惑をおかけしました。

今回の題名「《甲骨文》虎の穴1−4「双頭の龍」(A)」は・・

《甲骨文》虎の穴の1回目にやった4番目の文で、テーマは「双頭の龍」。そして、これは(A)ということです。これから(B)(C)と続いていきます。

●今回はこれだよ!

今回の甲骨文はこれです(クリックすると別ウインドウで大きくなります)。これは鹿の肩甲骨の一部です。

niji01

で、この中から右下のものを読みます(クリックするとやはり大きくなります)。

niji02

●ちょっと寄り道

実はこの甲骨文は懐かしい甲骨文なのです。

1996年にインターネット・ワールド・エクスポが開かれた時、モニターになってブロードバンドとドメインを貸してもらって能のホームページを作ったのですが、その数年前から能のページと、そしてこの甲骨文のホームページを作っていました。

だから多分、世界で最初にWebに載った甲骨文がこれじゃないかなぁ。

で、いま検索をしてみたらインターネット・マガジンのホームページがヒットして、エクスポのときのインタビューが載っていた(303ページです)。

http://i.impressrd.jp/files/images/bn/pdf/im199609-294-newscope.pdf

このインタビューにあるアメリカ軍の話は年代と場所を変えてあります。当時は知人のアメリカ軍人がまだ現役だったのでまずかったので・・。

そのときの甲骨文のホームページのデータはあるので、今度アップしておこうかな。「昔はこんなホームページだった」っていう懐かしホームページです。ちょうど最新版が残っていて、でもその最新版というのが「Netscape2.0」用なのです。

Netscape2.0って、いつごろだろう。

●それはともかく

さて、この甲骨文では・・

(1)数字

(2)すでにやった文字

・・のほかに・・

(3)方角(ふたつ)

(4)足に関連する文字

・・を、虎の穴では考えてもらいました。

さ、ちょっと考えてみてください。

僕は寝ます・・。明日も早い。

またまた雑記

今日は引きこもりのお子さんをお持ちの保護者の方にお話やらワークショップをして、そのあと夜の新幹線で広島に向かい、明日は広島でデス・スタディーと能との関連でお話をします。

で、いまは小田原のカフェでこれを書いています。

さて、昨日、きのこのパスタを食べながら、ふと思ったことなど・・。

     ◆◆◆◆◆◆

これは前にもちょっと書きましたが、学生時代、高尾山から富士山まで歩くということをよくしました。富士登山をせずに、富士五湖一周をして戻ってくるとちょうど一週間で、山もきつくなく、いい感じなのです。

東海自然歩道の道を辿っていくのですが、高尾山を過ぎると山中湖に出るまでほとんど誰にも会わず、三日ほど歩行瞑想状態になります。

で、ある年に「この東海自然歩道を全部歩いてみよう」と思い立ち、空海も好きだったので、ついでに和歌山県にまで足を伸ばしました。約3ヶ月の旅です。あ、片道だけね。帰りは列車で戻りました。

地図では全部つながっているはずの東海自然歩道は、全然つながっていず、コンパスと国土地理院発行の地図だけを頼りに山の中を歩いていきました。ちなみに1976〜7年くらいの話ですから、今はつながっているかも知れません。未確認!

キャンプ場も使わず、テントと寝袋で、そこら辺で寝ながら歩くという旅なので、食料は極力減らします。基本は一日にインスタントラーメン4分の1です。インスタントラーメン一袋で4日もたせます。

むろん足りないので・・というところで昨日思い出したのですが、山に生えているキノコとか、川で魚を釣って食べていました。で、そんな話をいっしょにいた友人にしたら「どのキノコが食べれるか知っているのか」と聞かれました。

     ◆◆◆◆◆◆

子どものころは、夕飯のお吸い物用のキノコは祖父といっしょに防風林である松林に取りに行きました。これがうまい!

アサリも裏の浜に取りに行った。おひたし用の浜ボウフやおやつ用の蓬やベーボ(貝)は祖母と取りに行ったし、お風呂を沸かすための薪取りや、燃えやすくするための松ぼっくりもボテを背負って、これは子どもたちだけで取りに行った。

おかず用に魚を釣ったり、カニを捕ったり、祖父などは食べるといって蛇や蛙を捕ったりもしました(僕たちは気味悪がって食べませんでしたが)。

養殖されていた牡蠣も、潜って取って、そのまま海の中でラッコのように石で割って食べるならば、子どもだけは大目に見られていました。

そこら辺にあるものだけでかなりの生活ができていました。

いまは漁業権とかいろいろあって、こんなことをしたら罰せられてしまいます。

窮屈だなあ、と思ったのですが・・。

     ◆◆◆◆◆◆

でも、いまこれを許可したらどうなるかを考えると、これまた怖い。

「おいしいキノコがある!」と聞くとみんなで大挙して押しかけて、ガバーッて持っていってしまう。それどころか自分の分以上のものも獲っていってネットオークションなんかで売ってしまう。

あっという間にキノコがなくなってしまう。

子どものころの(少なくとも僕の住んでいた地域の)人々は、自分たちの食べる分だけを採るということをしていた。

だから「種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもせず(マタイ伝)」、それでも生活ができていた。実際にそういう人も何人かいた。ぼや〜っと日がな一日、海を眺めているだけという人ね。近くを通ると「よ、安田屋のあんちゃん(屋号付きね。本当の屋号は違うけど)」と声をかけられる。

ネイティブ・アメリカン(インディアン)の人たちは農業をしません。母なる大地に刃物を入れるなんてトンでもないというのです。自然のもので生きるのではなく、そこら辺にあるもので生きる!

インスタントラーメンを何袋かリュックに入れれば和歌山県まで歩いて行けた。

たった30年〜40年前の話なのに・・。

そんな時代で、そんな場所ならば、家の中に引きこもらず、ぼや〜っと海を眺めていても誰にも文句を言われなかったのに、と思う。
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